読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

廃ビルプロジェクト

廃ビルが出来上がる経済的な構造はよく知らないけど、間違いなくベルリンは廃ビルが似合う街だ。退廃的な建築の隙間からノイズのように表出しているグラフィティは、もはやこの街のシンボルである。実際、数少ない観光地であるベルリンの壁も"グラフィティアート"を売りにしているようだし、砕け散った空き瓶、吸い殻とセットで誰もいなくたってストリートはいつだって賑やか。

 

たまたまネットサーフィングしてたときに、BERLIN ART BANG (http://www.thehaus.de/) ってイベントを知る。THE HAUSというかつてミュージアムであったビルが取り壊されるらしく、クロージングパーティーとして開かれるのだとか。二ヶ月間限定で、投げ銭制らしい。しかも、人数を制限しながら入場させてるためめちゃめちゃ並ぶらしい。すごく気になったので空き時間を見つけて行ってみたのだった。

 

THE HAUSがあるのは、ZARAとかユニクロが並ぶ商業的なショッピング街の中。正確な位置を把握せずに行ったのだが、一発で場所はわかった。日本人でもこんなに並ばないだろっていう列。周辺のホテルやショップは大迷惑だろうなと思ったのだが、そのバンダリズム的スピリットがグラフィティに通じているのかもと深読みしてみたり。

 

f:id:raywashio:20170420050737j:plain

 

というか深読みさせるぐらい待たされて、結局1時間半くらい待った。4月は天候が不安定で、この日は雪が降ったり、晴れたり、急に強風が吹いたりで、まぁとにかく寒くて、それは時間以上に長く感じたのだ。

 

ようやく入り口の手前くらいまできて、白い袋を渡される。塞ぎ口にはべっとりと糊がついていて、スマホをしまえということらしい。ようは撮影禁止。なんともベルリンらしいシステムだと思わず笑ってしまった。でも、SNS上の写真の拡散なくしてここまで人を寄せ付けるのは簡単なことではないはず。同時に関心する。

 

webサイトの感じからしても、もちろんタイトルからしても、グラフィティアーティストが占拠しているということのみしか知らなかったので、実際に中を見てみて驚いたのは、普通に彫刻や、インスタレーション的なものも普通に"展示"してあったことだった。むしろ、それこそ美大の学内でやる卒展に近くて、それぞれの(ホワイトキューブでない)部屋としての空間を各々が、塗るなり、壁を作るなりで工夫してそれらしく見せている点など、まさしくである。手荒な感じもそれを想起させたのかもしれないけれど、ほどよいDIY感が五階建てのビルを包んでいた。名刺も置いてあったし。

 

でも、メインはやっぱりグラフィティで、廊下やトイレなど塗られてないところを見つけるのが困難なほどに埋め尽くされている。肝心の作風だが、僕はそこまで詳しくないのであまりわからないけれど、わりとオールドスタイルだったのかも。WILD STYLEの頃のブルックリンの感じ。ちょっとノスタルジックな哀愁があるように感じた。わからない、見る人が見れば違うのかもだが。

 

帰りに、登った階段を下り、一階に降りてきたとき、物販を見つけた。分厚くて黒い本はこのイベントの記録集らしい。ちょっと欲しかったので、値段を聞いてみたら売り切れなのだとか。確かにSOLD OUTと小さく書かれていたけれど、だったら置くなよ。2ヶ月ある会期のうちまだ折り返しすらしてないこの時期に売り切れるとはやっぱり予想以上の反響なのかな。ベルリンにはこういうよくわからんイベントが多いなぁ。